文献
1.栗山廉二郎:IcodextrinPD液一日一回療法。腎と透析 58巻別冊pp162-168,2005
2.栗山廉二郎:ICO除水は何処まで可能か。腎と透析 58巻別冊pp169-175,2005
3.Renjiro KURIYAMA: THE USE OF SINGLE BAG ICODEXTRIN ONCE PER DAY + AZELNIDIPINE PERITONEAL DIALYSIS IN THE MANAGEMENT OF OVERHYDRATION IN PD.ISPDNAC at Chicago, April 30, 2005
1) バクスター株式会社 社内資料.
2) Thodis E, et al:Failure of Icodextrin to provide adequate ultrafiltration in continuous ambulatory peritoneal dialysis patients.
3) 山田昌由、他:小児PD患者におけるエクストラニールの使用経験. 腎と透析 58 (腹膜透析2005), 144-147, 2005.
2004年9月に青梅市立病院の栗山廉二郎先生からOne Day Ico法を教えて頂いて糖尿病性腎症の患者さんに導入しはじめた時、当院にはグルコース脱水素酵素(GDH)法を測定原理とし補酵素にピロロキノリンキノン(PQQ)を使用する簡易血糖測定器しかなかった。エクストラニール使用中でも誤差のないGOD電極法の簡易血糖測定器を導入するにあたり、測定原理の異なる2機種の血糖測定器間の誤差を調べると、その差に個人差はあるものの同じ症例ではほぼ一定の値をとる事に気付いた。そこでicodextrinの代謝産物であるマルトース,マルトトリオース,マルトテトラオース等のオリゴ糖濃度がこの誤差{以後(GDH-GOD)値と呼ぶ}と比例すると考え、エクストラニール使用中の患者さんの血漿中のオリゴ糖分画をガスクロマトグラフィー法を用いて測定し、(GDH-GOD)値はオリゴ糖類の総モル濃度に比例する事がわかり(GDH-GOD)値からオリゴ糖モル濃度の推定式を導き出し、血糖測定器の誤差をみるだけで簡単に血中オリゴ糖の動態が明らかになった。
当院でエクストラニール使用中の患者さんの中にはCAPD手帳を見るかぎり注排液の収支が常にマイナスで全然除水が出来ていないにもかかわらず導入前より体重や浮腫が明らかに減って非常に調子の良い患者さんが何人かいる。元気に毎日お仕事されているので、なかなか蓄尿して頂く機会がないが、導入前より明らかに尿量が増えている事になる。これらのエクストラニール使用中の患者さんの尿中には、オリゴ糖が濃縮されて多量に出ている事がガスクロマトグラフィー法による測定でわかった。この尿中へのオリゴ糖の移動が尿量増加、尿蛋白減少に関連するとの仮説を立ててさらに研究中である。icodextrinが血中に吸収されてからオリゴ糖に分解され代謝されてゆく過程で様々な好ましい影響を身体に与えている可能性に付き報告する。