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追 悼 故 前川 正信 会長 を偲ぶ
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「日本在宅透析支援会議」の設立と発展にひとかたならぬ御尽力を戴いた、大阪市立大学名誉教授
前川 正信 先生が、去る平成18年8月31日享年80歳の生涯を閉じられました。
本会議はもとより先生のわが国における、泌尿器科学、透析医学への御貢献は筆舌に尽くしがたいものであります。特に透析医学に於いてはわが国の数少ない先達であり、世界をリ−ドする透析医療の今日ある基礎を築かれました。先生の御功績に対し心から敬意を表すると共に謹んで哀悼の意を捧げます。
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故 前川 正信 先生は海軍士官学校を経て大阪大学医学部を昭和25(1950)年に御卒業になり当時のインタ−ンを大阪逓信病院で受けられた後、大阪大学医学部泌尿器科学講座に入局されました。その当時の前川先生の研究課題が「腎直接外科手術に於ける腎機能温存法」であり「腎部分切除術の実験的ならびに臨床的研究」が学位論文でありました。そのことから必然的に腎不全への関心が高まったものと思われます。そうしたご経歴の中で昭和38(1963)年春、当時はまだ「皮膚泌尿器科」でありましたが、大阪市立大学医学部皮膚泌尿器科学講座から「泌尿器科」が独立することになり、招かれて泌尿器科担当助教授として大阪市立大学医学部に赴任されました。
独立した泌尿器科学講座の教室作りに、故 田村 峰雄 大阪市立大学名誉教授を助けて腐心されるかたわら「腎尿路外科」を積極的に立ち上げるために急性腎不全に対する治療法として「血液浄化」が必要なこと、欧米では既に腎不全に対して「血液透析法」が治療法として効果を上げていることなどから、腎不全に対する「血液浄化療法」に取り組まれました。昭和39(1964)年には関西でいち早く「コルフ型人工腎装置」を導入されたり、自家製の灌流液で腹膜透析を試みられたりされました。そのことから田村 峰雄名誉教授のあとを受けて教授になられた大阪市立大学医学部泌尿器科学講座は一般泌尿器科に加えて腎不全に対する血液浄化療法が診療、研究、そして教育のもう1つ柱となり、特徴のある教室が築かれ、大阪はもとより、わが国の腎不全治療のメッカの1つになりました。
わが国では昭和40(1965)年頃から腎不全に対する透析療法が、内科医、外科医、泌尿器科医、さらには小児科医がそれぞれに、あるいは力を合わせて腎不全患者さんの延命を求めて試行錯誤を繰り返していました。研究成果の発表や標準的な治療基準、あるいは腎不全患者さんの実態の把握の必要性から、昭和43(1968)年11月に全国組織の「人工透析研究会」が組織されました。前川
正信 先生は当初から幹事の1人として参画され、昭和61年(1986)年に日本人工透析研究会から紆余曲折を経て「日本透析療法学会」に改組した際の中心的な役割を果たされました。さらに「日本透析療法学会」最後の理事長として大変な難局を見事な舵取りで、平成6(1994)年に文部省の「社団法人
日本透析医学会」への改組の手続きを終わられて、勇退され名誉会員となられました。
大阪では昭和49(1974)年に「大阪透析研究会」を立ち上げられ、平成8(1996)年までの22年間、大阪透析研究会会長として、懇切丁寧に、且つ厳しく指導をされました。
そのことにより、大阪透析研究会誌を含めて、全国一の研究会と称されるようになったと考えます。
その後も多くの研究会を立ち上げられましたが、平成15(2003)年12月に「日本在宅透析支援会議」を設立する際も快く会長職を引き受けて戴きました。そしてこの会議が全国区になり発展することに腐心して戴きました。第3回大会を前に御病気が悪化した際も、3回まで開催できれば必ず続くからと仰られ、出来たばかりの抄録集を手に取られて、何とか出席をしたいと頑張っておられました。
前川 正信 先生が立ち上げられた多くの研究会の「おとんぼ」の会として先輩格の研究会に負けないように立派に成長することが恩返しであろうと考えます。
このように前川 正信 先生は一般泌尿器科はもちろんのこと透析療法を透析学にまで育て上げられた、時代を見抜く洞察力と非凡な行動力、そして何よりも「気配り、目配り、手配り」による人心掌握の見事さによって、わが国の医学、医療と患者さんの福祉の発展に寄与されたことは誰もが認めるところでしょう。その功績によって平成16年秋には瑞宝中緩賞を授与されました。時代を動かす先導者を失った損失は大きいのですが、先生の教えを糧としてこの会議はもとよりわが国の透析医療の発展と福祉の向上に努めることで御恩に報いたいと思います。合掌
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日本在宅透析支援会議
会長 今田 聰雄
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