日本在宅透析支援会議
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在宅血液透析に関するFAQ(Frequently Asked Questions)

皆様から寄せられたご質問に対して、全国の顧問や幹事の先生方が回答致します。

ご質問は、こちらから受け付けております。
    
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質問 質問者:男性 48歳 透析歴7年
透析不足による restless legs 症候群,強度の痒みに悩まされているのですが,HDF へ移行戴けません。
事務局等の圧力もあるようです。
そこで,他の透析医療施設を探したのですが,評判がよくなかったり,遠隔地だったりで諦めてはいます。
しかし,在宅透析或いはAPD併用型在宅透析で有れば,十分な透析効率を期待できると考え始めたのですが,間違いでしょうか?
勿論,近くで在宅透析医療をしてくれる機関は見あたらないので,グループを募ってみようと思いますが・・・

回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
restless legs(むずむず足) 症候群と強度の痒みで悩まれているとか。
ご指摘のように透析不足が関与している可能性はあります。
その他に、二次性副甲状腺機能亢進症の存在も同様の症状を出すことがあります。
施行してみなければわかりませんがHDF(血液透析濾過法)が有効であることが多いようです。
一手間掛かるのでやりたがらない施設があることも事実でしょう。
HDFの替わりに腹膜透析(CAPDでもAPDでも)を選択され、欠点である透析量不足や除水を、週一回のHDの併用で補う方法はよい選択ではないでしょうか。
是非チャレンジして戴きたいと思います。


質問 質問者:男性 47歳 透析歴 CAPD 8年
今まで腹膜透析をしていました。
今回、腹部の手術を機に血液透析に変更となりました。
今まで在宅で行なっていてトラブルなく経過していました。
血液透析となり通院することに不自由さを感じています。
岩手で在宅血液透析を受け入れてくれる施設はあるのでしょうか?
ぜひ、在宅透析ができる施設を教えて欲しいです。


回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
残念ながら岩手県の全施設を含めて、青森、秋田両県にも、「在宅血液透析」を支援(施行)している透析施設はありません。
諸般の事情から、現時点では大学病院や市立病院などの公的施設では在宅血液透析の支援は難しいと思われます。
岩手県では規模的にも盛岡市の透析施設が支援に立ち上がって頂けると有り難いのですが。
患者さんの側からの要望も後押しになります。
1度その予定はないのかを聞かれては如何でしょうか。


質問 質問者:男性 38歳 透析歴 3年6ヶ月
私はCAPDを開始して3年6ヶ月で2年目からは週1回のHDを併用しています。
CAPDがあと何年できるかわかりませが、完全にHDになった場合在宅透析を考えています。
在宅透析を行う場合の埼玉県内にトレーニングを行える病院等は存在するのでしょうか?
またどこの病院に在宅透析について相談すればよいのでしょうか?
できれば在宅透析を積極的に取り組んでいる病院が埼玉県内にあると安心できるのですが。

回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
CAPDに週1回のHDの併用療法は、「補完療法」あるいは「ハイブリッド療法」として、
CAPDとHDのよいところを会わせた腎不全の治療法として注目されています。
当面は併用療法で現状の維持が可能であろうと思います。
そのうちに「在宅血液透析」の支援施設も増えると思います。
現時点では、埼玉医科大学の腎臓内科、中元秀友助教授 (この支援会議の有力なメンバ−のお一人) が熱心に取り組んでおられます。
1度ご相談されてみては如何でしょう。


質問 質問者:看護師
質問です。
1、シャントの問題等もあり、シングルニードルでのHHDを現在調整中ですが、シングルニードルでHHDする場合の注意点等がありますでしょうか?
2、CHDFもしくはHDFを在宅で行った場合は、医療請求は可能でしょうか?
理由は、外来患者様が在宅末期で自宅での看取りを希望された場合、訪問看護等で透析を続けていく場合、短期間での利用に設備等の購入が難しいのと、透析困難にてCHDF等の対応で出来ないか考察中です。
そのような事例があれば教えていただけますか?
今後ともご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。

回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
1.最近の個人用血液透析液供給装置(コンソ−ル)の性能は素晴らしく、シングルニ−ドル専用機もダブルニ−ドルと同様で (ガチャガチャと切り替えが行われて心配であった過去の機器とは違って) 何も問題はありません。
30年前のシングルニ−ドルの装置は、動脈側、静脈側の血液が混じるので、通常施行時間より10〜15%延長(4時間透析なら、4時間半)するというようなことで調節しました。
現在はダブルもシングルもあまり変わらないようですが透析不足にならないように気を付けることぐらいでしょう。
2.CHDF、HDFのいずれを在宅でやられても、保険請求に制限はありません(今年の4月の保険改訂までは)。
どの装置を使っても透析液供給装置代が8,000点/月、置換液(透析液)、濾過器(透析器)と薬液代、および管理費の請求になります。
もちろん回数(1日1浄化法)にも制限はありません。


質問 質問者:男性 47歳 透析歴 4年
在宅血液透析施行の際、5〜6名のグループで介助者(専任看護師)を1名雇って行う方法があるとFAQに回答があったのですが
実際の施行例があれば教えてください。
また、各種法令に抵触する事柄はないのかご教示下さい。

回答 回答者:長寿クリニック 今田聰雄先生
ご質問の「5〜6名のグループで介助者(専任看護師)を1名雇って行う方法」であるLimited care unit(限定看護透析室)方式は、
フランスでは行われているそうですが、知る限りにおいてですが、日本にはありません。

理由は、一定の人数の透析者が集まれるのであれば、施設透析で対応できるし、離島などの施設がないところでは、透析者の数がないことです。
つまり、これまではあえてLimited care で行う必要性がないから、ということになります。
しかし、これからはLimited care の利点として、時間や施行回数の制限(お互いの都合はありますが)はなく、自由な時間に好きなように、透析が受けられる (結局は透析医療に健康保険上の制限が入った)ことにあります。
障害となる自己穿刺も専門看護師が行うということも利点でしょう。

このLimited care をわが国で行うとして、健康保険に抵触するか否かですが、「在宅血液透析」として保険請求をすることは、規則に反することはありません。
また、各種法令を医師法や看護師法にまで拡大したとしても、法令違反は存在しません。抵触するとしたら全ての「在宅医療」が抵触することになります。
当「在宅支援会議」でもこれから増加する、高齢者が透析を老人ホ−ムなどで受けられる方式として、支援していくつもりです。


※こちらの質問者の方にホームページへの掲載のご了承を戴くために、登録されたメールアドレスにメールをお送りしましたが、
エラーで返送され、確認がとれませんでした。
ご不明な点や掲載拒否を希望される場合、お手数ですが事務局までご連絡下さい。宜しくお願い申し上げます。



質問 質問者:男性 68歳 透析歴 6年くらい
肺に胸水が溜まった事
カリウム値が高かった事
以上2点により1月に入院。

3月に誤嚥性肺炎を起こし挿官
現在は週3回透析時のみ人工呼吸器を外しています。
以前、心臓のバイパス手術も受けているため不整脈もあります。
ビリルビン3〜4 CRP7〜8 熱38度前後
病院の運営方針の問題で、長時間透析は不可。
この様な病状でも導入は出来ますか?

回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田聰雄先生
現在週に3回の血液透析を行われていて、長時間透析は無理であると主治医の先生に云われている。
「在宅血液透析」の導入は可能であるか? とのご質問と解釈致します。
「在宅血液透析」の利点である短時間頻回、すなわち通常の血液透析では、保険で処置料が請求できるのは月に14回までとの規則があります。
もちろん15回目からは、処置料は請求できなくても、使用した透析液や材料費は請求できます。
したがって、2時間から3時間の短時間透析を週に4回以上行うことは「施設血液透析」では難しいかも知れません。
「在宅血液透析」は「自己管理」が条件となりますので、介助者が必要です。

病状を考えると、「在宅血液透析」よりも「腹膜透析であるCAPD」の方が管理上容易かも知れません。
そして必要に応じて、短時間の血液透析を併用されるとよいのではないかと思われます。

期待されたような返事ができなくて申し訳ありません。


質問 質問者:臨床工学技士
診療報酬についてお教え下さい。

在宅透析では
「在宅血液透析指導管理料」3,800点
「頻回に指導管理を行なう必要がある場合」1,900点×2
「透析液供給装置使用料」8,000点
「慢性維持透析患者外来医学管理料」2,305点
と、ダイアライザーや生食・透析液・抗凝固薬等の特定医療材料や薬剤料は使用分請求可能と認識しています。

そこで今年4月の改訂で施設透析の外来ではエリスロポエチン製剤が包括になりましたが、在宅透析の場合も同様なのでしょうか?

回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田聰雄先生
 ご指摘の通り、在宅血液透析では、 「在宅血液透析指導管理料=3,800点」、「頻回に指導管理を行なう必要がある場合=1,900点×2回まで」「透析液供給装置使用料=8,000点」、 「慢性維持透析患者外来医学管理料=2,305点」に加えて、ダイアライザーや生食・透析液・抗凝固薬などの特定医療材料や薬剤料は使用分請求可能です。
さて問題はエリスロポエチン製剤、ビタミンD関連製剤、その他の施設透析ではHD終了時に回路内に注入している薬剤の請求についてです。
施設透析の処置料である「人工腎臓=2,250点」が「在宅血液透析」の場合には認められていないため、そこに含まれるエリスロポエチン製剤は薬剤料として別請求することになります。
ここに問題があります。エリスロポエチン製剤や前掲の薬剤が「在宅自己注射指導管理料」の対象薬剤ではないことです。
そのため、保険者側から、「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤」ではない薬物が、「在宅血液透析」に使用したとして請求されることはおかしいとの指摘です。
多くの「在宅血液透析支援施設」では、やむを得ず、近医との連携で、「在宅患者訪問点滴注射管理指導料」を準用するか、介護者が医師、看護師、臨床工学技士の資格を持っていることを準用することを選択しているのが現状でしょう。
幸い、「在宅血液透析」を選択された透析者は、貧血や痒みその他の症状を有することが少ないので、必要薬物が支援施設の持ち出しになることが少ない点でしょう。

屁理屈をいうと、透析液も生食も、ましてや抗凝固薬は立派な薬物です。それらが「在宅血液透析」では請求可能であれば、「在宅医療」の普及のためにも、「在宅血液透析」では、エリスロポエチン製剤や必要な薬物の使用分請求とその管理料を認めるべきであると思います。
是非、皆様の声を大きくして、これらを認めて貰い「在宅血液透析」の普及を図ろうではありませんか。


質問 質問者:男性 45歳 透析歴2年                                                                                      
在宅透析の場合は エポジンやオキサロールが使えないと聞いたのですが 本当なのでしょうか 
回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田聰雄先生
 ご質問ありがとうございます。
在宅透析(在宅血液透析と在宅自己腹膜灌流、つまり連続携行式腹膜灌流=CAPD)では、エリスロポエチン製剤(エポジン、エスポ−など)や活性型ビタミンD3製剤(注射薬としてはオキサロ−ルやロカルトロ−ルなど)が使えないのではないかという趣旨の質問です。
 理屈を言うようですが、「使う」という言葉に誤解が生じると困りますが、施設透析で使用している薬物は全て使用出来ます。
問題は社会保険・国民保険・老人保健などのいわゆる健康保険の請求が出来るか否かということであれば、請求をしても以下の理由から、
薬剤料の支払いを拒否されると云うことです。
現在大変な社会問題ともなっている「健康保険」の仕組みを理解して頂かないとわかりにくいのですが、エポジンやオキサロ−ル(これらは
注射薬です)を在宅医療で使用して、その代金を「診療報酬支払基金」に医療者が請求をしても「支払ってもらえない」ということで、 
病院や診療所が健康保険では「使えない」といったのであろうと思います。
「使えない」理由は、エリスロポエチン製剤や活性型ビタミンD3製剤が「在宅自己注射指導管理料の対象注射薬」の中に入れられていないからです。
インスリン製剤、インタ−フェロン製剤、ヒト成長ホルモン剤、特にエポジンなどと同じ製法の「遺伝子組み換え活性型血液凝固第Z因子製剤」は使えるのですから、おかしいと云えばおかしな話です。
つまり、エポジンやオキサロ−ルが「在宅自己注射指導管理料の対象注射薬」の中に書き入れられれば「使える」ということになります。
在宅透析をやられていて、現在の保健の仕組みのままで使う方法は、月に1〜2回の受診時に使うか、近所の医療施設で注射をして貰うことになります。
「在宅医療」を推進するという役所が、対象注射薬に名前を入れるだけの作業を省いたために、在宅医療が普及しないとしたら哀しいという以外にないように思います。
多少の救いは、エリスロポエチン製剤には、長時間作用型の「ネスプ」が販売され、月に1〜2回の使用でよくなったことや、オキサロ−ルも副甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑える内服薬が開発・販売されたので、「使えない注射薬」から「何時でも何処でも使える内服薬」に変更することで対応可能だと思います。

質問 質問者:看護師
ご質問 高齢患者の施設透析では、通院介護など、あらゆる問題で悩まれている家族の姿があります。しかし、自己穿刺が出来ない高齢者には、HHDという選択肢がありません。そこで、緊急時の対応や片付けだけを介護者が訓練し、穿刺・プライミングを訪問看護師が行う。といったいわゆる見守り程度の介護者であれば、もう少し需要があるのではないか?と考えていますが、在宅透析と訪問看護を併用した場合、法律的な縛りと診療報酬上の採算性はいかがなものか?ご回答を頂ければ幸いだと思います。
回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田聰雄先生
 ご質問ありがとうございます。ご存知のように、在宅透析には在宅血液透析と在宅自己腹膜灌流  (つまり連続携行式腹膜灌流=CAPD) があります。
血液透析の場合は体外循環が必須ですから、バスキュラ−アクセス(内シャント)を用いることになります。一般的には動脈化された静脈を「穿刺」しています。
この「穿刺」が医療行為であると考えるなら、資格のある者が穿刺をするか、自己穿刺が必要と考えられています。
しかし考えてみるとおかしな話です。20年はまだ経っていないと思いますが、「穿刺」行為は医師しか出来ない時代がありました。
理由は「健保」上、「動脈の直接穿刺」の点数がなかったので、「臓器生検」の点数230点?が請求されていたからで、AVの穿刺で230×2回=460点、つまり4,600円が透析ごとに請求されていました。透析療法が高額であったわけですが、このため医師が穿刺をすることになっていました。
しかし、透析者数の増加で、あちこちの施設で看護師(当時は看護婦)が穿刺をし始めました。さらに透析者の数が増えて、臨床検査技師、さらに、制度化されて国家資格を取った臨床工学技士が穿刺をするようになりました。つまり、保健制度や医療行為の考え方は時代によって変わるとご理解下さい。
ガソリンが値下げされたこの時代です。皆様にしっかり考えて欲しいのは、「制度だから出来ない」と思うのか「出来るように制度を変えよう」と行動するかです。
「自己穿刺が出来ない高齢者にはHHDという選択肢はない」と考えるのでは寂しすぎませんか。
現在の制度内でも高齢者が在宅透析を行うのにはいくつもの選択肢が有ります。
@HHDのみを何故考えるのでしょうか。CAPDでは何故いけないのでしょうか。当然、後者は自己穿刺の必要はなく、緊急時もなく、ヘルパ−さん達で十分管理可能です。
AHHDを選んでも、「穿刺」がもし、「挿入:ボタンホ−ルに入れる」であれば、医療行為と考えないで、無資格である家族でも、誰でも出来るのではないでしょうか。
また、体外循環用のバスキュラアクセスは穿刺ではなく「連結:血液透析の始まりの頃である1965年当時は外シャントを増設して連結で透析をしていました」でやることも可能ではないでしょうか。
カテ−テルを頸静脈に挿入しておいて、その都度、連結でHDをする工夫はできないものでしょうか。
「在宅透析」をもっと広い意味でお考えになる姿勢には感心致します。厚生労働省も訪問看護に対する保険点数を少し上げたようです。つまりそうしたいと考えているのだと思います。
「在宅透析」と「訪問看護」を組み合わせても、別に法律違反にはならないでしょう。問題は「健保」や「介護保険」が請求分を支払ってくれるか否かですが、医療法上の規則(この場合、HHDの支援施設と訪問看護の施設基準)を認められていれば問題ありません。診療報酬上の採算性は工夫次第(10名以上を管理するとか、支援施設間で協力し合うとか)だと思います。

質問 質問者:34歳 男性 透析歴18年
ご質問:在宅透析を開始して3ヶ月経ちますが、2週間に1回透析液5箱(約100キロ)をとりに行っております。
元気な時は平気ですが今後ずーっと継続して行くのは辛いため、院外処方で出せる物は(透析液・生食・ヘパリン)処方してもらい薬局に持ってきて頂こうと思い依頼したところ
包括指導料として請求しているためダメとの返答でした。他地域での在宅透析患者に聞いたところ
「透析液と生食と定期薬」は、院外処方せんをだしてもらっているとの事です。
どうやって説得させて院外にしてもらえれば良いか助言お願いいたします。
回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田聰雄先生
 ご質問ありがとうございます。
 「建て前」と「本音」が世の常であり、夏目漱石先生の草枕、「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい」ということをご理解頂けたらと思います。
つまり、在宅血液透析の管理施設の考え方によるため、ご満足頂ける助言はしにくいと言うことです。
この件に関して、こうしなければいけないと云う基準がないので、それぞれの施設が工夫をしています。
例えば、製造業者(メ−カ)あるいは問屋が配送(生食なども)と回収を引き受けることもあります。
同じ在宅透析でも、CAPDでは透析液の配送は製造業者(メ−カ)です。それは腹膜透析液が業者の利益のほとんどを占めるので、
他人には任せられないと云うこともあります。申し上げられるのは、一括購入で利益が出ていれば、院外薬局を使えば利益に影響が出ます。
院外薬局を使う方が利益が大きければ、無理矢理にでも院外処方箋を出すと思われます。管理施設と十分に話し合って頂く以外に方法はなさそうです。
さらに蛇足を云えば、「在宅血液透析」を行う透析者が増加することです。「少数派の意見も尊重すべきである」が建て前で終わるのは哀しいことだと思います。

質問 質問者:34歳 男性 透析歴18年
ご質問:CAPD12年目の方ですが2週間位前より出口部の腫脹・熱感あり 抗生剤投与にて症状は軽減され現在は感染兆候見られないのですが、先週末より上部カフが出口部より突出してきました。
今後どのような処置、ケアを続けたらよいですか?初めてのケースでどのようにしたらよいか教えてください。また、適切な参考文献等あれば教えて下さい。
回答 回答者:(医)長寿クリニック 大野卓志先生
 ご質問ありがとうございます。
 現在は出口部の感染は治癒しているみたいですが、外部カフが出口部から突出している状態なのですね。
 カフは化学繊維でできています。腹膜カテーテルにカフが必要なのは次の理由によります。現在は第一カフと第二カフの二つのカフがついている腹膜カテーテルが主流です。第一カフは腹膜に縫いつけてカテーテルが抜けないようにするため。第二カフは皮下組織とくっつくことによってカテーテルの固定を強固にすることにより細菌の侵入を防止するためです。
 出口からどのくらい離すかについて15年ぐらい前までは多くの議論がありました。理由はカフが出口部に出てきてしまうこと。あまり奥に入れるとトンネル感染の予防にならないことなどから3〜4cm出口部から離れた皮下に置くことがよいと結論しました。
腹膜透析を開始してから痩せたためにカフが脱出した症例は私たちも経験があります。
 もし、痩せたためにカフが突出したのであれば、カフ感染がなければ問題ありません。過去にはカフが顔を出さないように奥に置きましたが、最近ではカフの種類によっては、顔を出している方が出口部の周囲組織と癒着して、細菌の浸入を防ぐという考えもあり、わざとカフを出すようにしている施設もあります。
 カフ感染のためにカフが突出したのであれば、外科的な治療が必要になることもあると思います。要は突出によって感染発症の恐れがあるか否かです。
 感染が発症するような場合の治療法としては、カフシェービング、アンルーフィング、カテーテルの入れ替え、および出口部変更があります。カフが完全に脱出しているのであればカテーテルを傷つけないようにして行うカフシェービングは有効と思われます。出口部感染が続いているのであれば、アンルーフィングが以前はよく施行されていましたが、再発が多く、皮下トンネル部が充分確保できないため腹膜炎へ進展する可能性もあり、望ましい処置とはいえません。カテーテルの入れ替えは手術侵襲を考慮すると最終手段と思われます。結論としましては、感染がなければそのままにして下さい。感染が起こり治り難ければ出口部変更術が簡便で有用な治療法ではないかと思われます。
 まずは、実際の出口の状態をみないと判断しにくいところもあります。初めてのケースのようですので一度、経験のある医師に診てもらうのも一つの方法かもしれません。

質問 質問者:北海道  臨床工学技士
ご質問:在宅透析適応患者さんの定義、適応にならない方の定義について教えてください。何人かの患者さんが在宅透析を希望されています。医療スタッフ側から見て、合併症の有無、在宅透析にしたい動機、コミュニケーションの取りやすさなど考えると、この患者さんは良いが、この患者さんはできません。という線引をどこでして良いのか解りません。一人の患者さんは、特定のスタッフとしかコミュニケーションをとらず仕事もしていないため、動機も明確ではありません。そういう方でも、適応になるのでしょうか
回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田 聰雄先生
 ご質問ありがとうございます。
 ご質問については、透析関連の専門雑誌である「臨牀透析 2007年8月号(VOL.23 No.9)」に[特集]在宅血液透析療法の現況と展望があります。先ずは是非お読 み下さい。
 在宅透析適応患者さんの定義は「やってみたいと思われる透析患者さん」であれば誰でも適応があります。つまり、ご存知のように、在宅透析には独りでできる安全な携行式持続腹膜灌流であるCAPDと介助者がいた方がよい在宅血液透(HHD)があります。
 生活様式や医療環境条件によって使い分ける工夫をすれば誰でも可能です。適応にならない方の定義は、CAPDでもHHDでも、やったことがないと云うだけのことで、在宅透析療法を支援できない施設が多く、それらの施設が拒絶反応を起こせば適応はありません。
 程度や種類にもよりますが合併症が有るとか、介助者がいないとかは、適応とは直接関係はないと思います。通院が困難だから在宅で行うという選択肢も有ります。独りでHHDをやってらっしゃる透析者もいます。
 従って、在宅透析の管理が出来るか否かが問題で、患者さんを線引きする必要はないと思われます。これらは先に挙げた特集に回答があると思われますので参考にして下さい 

質問 質問者:埼玉県 大学生
ご質問:家族に在宅血液透析を薦めたいのですが、病院で教育をしたあと、訪問看護にもつなげてもらえる施設が埼玉県、東京都の中でどこにあるか?病院名はなにか?がわかりません。 いくつか病院を知って選びたいので、情報をもらえるとありがたいです。
回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田 聰雄先生
 ご質問ありがとうございます。
 私ども「日本在宅透析支援会議」有力メンバ−である施設として、埼玉県には埼玉医科大学病院 があります。
 血液浄化部(主任技師の大浜和也<オオハマ カズヤ>先生TEL:0492-76-1308)をお勧め致します。相談をしてみて下さい。
 東京都は同様に慶應義塾大学附属病院 中央透析室 室長 稲本 元 先生(TEL:03-3353-1211 中央透析室)か
 貴友会 王子病院 院長 窪田 実 先生(TEL:03-3912-6611)に相談をしてみて下さい。

質問 質問者:兵庫県 48歳 男性
ご質問:現在、神戸市内の外来専門の透析施設で通院HDを受けています。入院床の無い場合でも、HD患者の管理数が60人以上あればHHDの管理施設となれるのですか?不可な場合は神戸市内でHHDに積極的な施設を御教えください。
介助者は透析施設勤務で看護師の配偶者ですが、その場合の治療上の(エポジン等の投薬他)制約を御教えください。
最後に、必要な供給水量等を始めHHD導入に伴い整える環境を御教えください。現在施設では500ml/minで透析液を消費していますが、その為の必要な水量他、HHDで必要な必要な環境を御教えください。
回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田 聰雄先生
 ご質問ありがとうございます。
 「医科診療報酬点数表」という健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定基準があります。
それにより、いわゆる保険医療が成り立っていますが、在宅血液透析指導管理料を請求出来る保険医療機関の基準として@病床、A専用透析室および人工腎臓装置の2点があげれれています。つまり1床以上の病室ベットがある、有床診療所以上(診療所は無床診療所か19床までの有床診療所があり、病院は20床以上のベットがなければなりません)の施設であることが条件です。
従って、管理している透析者の数は基準にはなりません。ベットがあると云うことは、入院可能と云うことなのですが、HHDを管理するためだけに、1床を作って、医師、看護師、事務員の当直体勢を整えるのは、常時入院患者がいれば採算は取れますが、誰が考えても、1ベットに医師看護師、事務員を配置して、採算が取れるわけはありません。
このことが、HHDを支援しようと云う、施設が(透析施設全国に3,800施設以上あるのに、HHDの管理施設は30施設もない)少なすぎる原因です
厚生労働省も「在宅医療」を声高に云うので有れば、この病床を削除して、入院可能な「関連病院有り」とするぐらいの配慮が必要でしょう。
神戸市内には、当「在宅透析支援会議」の有力施設である「坂井瑠実クリニック:TEL;078-822-8111)」があります。本会議の顧問でもある坂井瑠実先生に相談をされては如何でしょう。
ご家族に看護師がいらっしゃれば「エリスロポエチン」に限らず、通常の薬物の「静注」は保険規則上でも可能です。
水道、電気代は地方自治体によって異なりますの。関西電力の電気代と大阪の水道代で、合わせて13,000円/月が余分にかかるようです。また、HHD用の水道工事などにも5,6万円掛かると思います。
誰からも制約(何時やるかも、透析回数も、透析時間も)を受けない自由なHHDを選ばれて、よりいっそう、透析人生をご自分のものにするよう頑張って下さい。

質問 質問者:鹿児島県 56歳 医師 男性 透析歴2週間
ご質問:ご質問 PN(結節性動脈周囲炎古典型)と認定されましてから2年ほどになります。4年ほど前よりだるさで発症しました。腎機能はゆっくりと機能不全に向かい、BUN 125 クレアチニン7.5ほどになりました。だるさとの戦いも抗する力を失い、在宅血液透析の方向へ向かいたいとも考えたのですが、鹿児島には症例が1例もない。とのことで「出来ない」とも案内を受けました。
回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田 聰雄先生
 ご質問ありがとうございます。
 透析導入後2週間ということですが、クレアチニンはともかくとして、BUNが125mg/dlはどの時点の数値でしょうか。
通常は(透析施行6回?)2週間経つと、消化器症状や倦怠感などもとれてくるのですが、原因疾患によって、少し時間が掛かるのかも知れません。
開業をしていらっしゃるので、在宅透析を選択されるのは当然であろうと思います。同じ在宅透析であるCAPDの施行も是非お考え下さい。
鹿児島県では薩摩川市平佐町2134に在る阿久根医院の阿久根 格先生(TEL:0996-20-2631,FAX:0996-20-2632)のところ現在1名の在宅血液透析の患者さんを支援していらっしゃいます。先生のご住所が解りませので、遠いのか近いのかは不明ですが、鹿児島県では阿久根先生のところだけです。阿久根先生には電話で許可を戴きましたので、相談をされては如何ですか。

質問 質問者:東京都 53歳 自営業 男性 透析歴約20年
ご質問:在宅透析を考えています。東京都狛江市在住です。
在宅透析の指導をしている施設を紹介してください。
ただし、東海大学病院には行きましたが、指導に時間がかかるとのことで、2年ほど前に横浜の潮見台看護大学病院を紹介されて 行きました。その時は、結局延期しました。この度、再度考えていますが、ネットで調べましたが当時の先生が確認できませんでした。ということで、よろしくお願いします。
回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田 聰雄先生
 ご質問ありがとうございます。
 当支援会議の有力メンバ−である、慶應義塾大学病院中央透析室(TEL:03-3353-1211交換台経由で中央透析室)の室長である稲本 元 先生か、少し遠いかも知れませんが、社団法人貴友会  王子病院 院長の窪田 実先生に相談をしてみて下さい

質問 質問者:愛知県 78歳 女性
ご質問:祖母が糖尿病性腎症で腎臓内科に通院しています。利尿剤の内服をしていますが、効果が少なく、全身むくみがひどいです。
腎機能もかなり悪くなってきており、このままいけば透析導入をするかどうかを考えてくださいといわれています。
高齢で、心臓も悪くペースメーカーを入れているような祖母ですが、透析をすることができるのでしょうか?足も悪く自分で歩けないので、在宅でできれば願ったりなのですが…。
回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田 聰雄先生
 ご質問ありがとうございます。
 糖尿病性腎症では、蛋白尿の排泄量が多く(3.5g/1日以上でネフロ−ゼ症候群の診断基準)、そのために低蛋白血症(総蛋白6.0g/dl以下で、前述の条件と合わせてネフロ−ゼ症候群の診断基準を満たす)となり、浮腫(全身性となります)は必発です。
腎機能が低下し、腎不全(クレアチニン値が3.0mg/dl以上ですが、糖尿病性腎症であると、また高齢者であると、筋肉量が少ないので、尿素窒素は高くなっても、クレアチニン値は低い場合もあります)となっても、低蛋白のための浮腫が続き、そのために透析(限外濾過による浮腫の治療で本来の透析ではなくECUM:イ−カムと云う方法ですが)が早くなることもあります。透析療法は、既に39年も続けていらっしゃる方もいますし、完成された安全な治療法です。つまり、1歳未満の赤ちゃんから、100歳の超々高齢者でも、必要が有れば行われています。
さて問題は、在宅でと云うことですが、条件さえ整えば可能です。最も安全なCAPD(持続携行式腹膜透析)の施行も含めて、在宅透析療法のメッカである、新生会第一病院(名古屋市瑞穂区玉水町1-3-2)に相談をされてみては如何でしょう。

質問 質問者:茨城県 年齢 54 性別 男性 透析歴 APD・PD6年+HD0.5年
ご質問:3年ほど以前より 興味を持ち 追跡勉強しています。
給排水設備費・水道料負担なし そして何より旅行先等でも使用できるということで 米NxStage社SystemOneに強い興味を持っています。 商社の丸紅さんが資本参入(?)して国内代理権を取得 認可に向けて活動されていたニュースを聞いて久しいのですが その後とんと聞きません。 米国内では 既に2、000台以上稼働しているようですが 日本国内での進展状況・見通し等をご存知でしたら お教え下さい。
認可に向けての 臨床テスト等もあるのでしょうか?
回答 回答者:(医)長寿クリニック 今田 聰雄先生
 ご質問ありがとうございます。
 5年前になりますでしょうか、米国のNxStage社System One が紹介されました。この装置では「透析」は出来ません。
「血液濾過」用のものです。従って、血液濾過(HF)に必要な置換液(補充液)がぶら下がっているだけですから、装置は簡単なものです。
当然、18〜20Lの置換液で十分なので、透析液は不要(給排水装置や水道水もいりません)と云うことになります。
HFだけでは長期の腎不全治療には問題があります。血液透析濾過(HDF)の希望者は多いのですが、この装置が使われることはありません。
また、同じ頃、Aksys社の「個人用バッチ式血液透析装置」が在宅透析用として輸入され、使用が検討されました。
しかし、「在宅透析用」の認可基準が、当時の厚生省にはなく、「認める」ということが出来ないため(現在でも、「在宅血液透析用装置」として認可を受けようとすると基準から作らなければならないので、「認可」されないでしょう)、(装置の騒音もひどく)消えてしまいました。つまり、現在でも「在宅血液透析用」の透析装置は認可の基準がないので、存在しません。いずれは、安全使用のための基準を作って、「在宅用透析装置」が日の目を見られるよう期待するしか有りません。

質問 質問者:
ご質問: 現在の施設では夜の9時ごろから翌朝の6時までの長時間透析をしています。
私は東京都の東村山市に在住しており横浜のみなとみらいまで通っております。
深夜透析をしてくださる施設がないため、会社を経営していることもあり日中の時間を割かれることは著しくQOLの低下を招くためです。
できるだけ長時間の頻回透析をしたいと思っております。
今の施設の先生の考え方では、できれば在宅血液透析を行いたいが、在宅血液透析の管理施設ではないので難しい。
何とか入院設備がない病院が在宅血液透析指導管理を実施する保険医療機関として認められる方法はないでしょうか?
回答 回答者:(医)恒進會病院 腎臓病センター 今田 聰雄先生
 ご質問ありがとうございます。
 ご質問は、診療所(病院は20床以上で、診療所は19床以下で有床と、ベットのない無床診療所が有ります)では、無床であると透析施設であっても、 在宅血液透析の管理施設になれない。管理施設になる方法がないかということだと思います。
保険診療を行っている多くの透析施設が、 厚生労働省の基準の解釈間違えていたようです。
在宅血液透析の管理施設に対する、基準は、平成22年3月31日までは、
{ 旧 C 102-2 (3) 在宅血液透析指導管理を実施する保険医療機関は次の設備又は器具を備えなければならない。
ア 病床 ,イ 専用透析室及び人工腎臓装置でしたから、透析装置を持っていれば、無床診療所でも可能でした。
上文の「・・・次の設備又は器具を・・・」又はを、・・・と・・・、
つまり、病床と透析装置の両方を持たないといけないと解釈したことによります。・・・又は・・・ですから、どちらかが有ればよいので、透析施設の全てが、
保険請求が可能でした。しかし、地方ごとの支払基金の解釈が異なり、請求を認めないところもあったようです。
それらが紛らわしかったので、平成22年4月1日からの健康保険点数解釈の改訂で、      {新 C 102-2  (3) 患者が血液透析を行う時間帯においては緊急連絡に対応できる体制を備えていること。
[算定条件] 関係学会等のマニュアルを参考に在宅血液透析を行うこと。  になりましたので、病床が無くても、透析施設で有ればどのような施設でも、在宅血液透析の管理施設になれることがはっきりしましたし、解りやすくなったと思います。  是非、施設の先生にお願いをして、在宅血液透析を始めて下さい。
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